TDK Electronics

LED照明システムに不可欠な保護素子

2014年8月21日

静電気や過熱からオールラウンドに保護

寿命やメンテナンス費用、信頼性など、LED照明システムならではの長所を発揮させるには、ESD(静電気放電)やサージ、過熱などへの対策が不可欠です。TDKの保護素子は、LEDアレイだけでなくその電源、制御回路など、LED照明のすべてのシステムを、効果的かつコストパフォーマンス良く保護します。

蛍光灯やHIDランプなど従来の光源に比べ、LEDは消費電力がはるかに少なく、エネルギー消費の低減に大きく貢献しています。動作寿命も最大80,000時間ときわめて長く、理想的な使用条件ならば、寿命はさらに延びます。従来の光源では、LEDの動作寿命の間に、何回も交換しなければなりませんでしたが、LED照明にすることで、メンテナンス費用含むシステム運用全般の経費を大幅に節減することが可能です。しかし、LED照明の信頼性に対して脅威となるものがあります。その主なものは次の通りです。

  • 雷放電を含む低~高エネルギーのESD(静電気放電)
  • サージ(過渡的な過電流・過電圧)
  • ホットスワップの際のスパイク電流やスパイク電圧
  • 逆電圧の効果
  • 過熱

したがって、LED素子自身がもつ高信頼性や長寿命という特長を、LED照明システムにも実現するためには、こうした脅威から、すべての部品やサブシステムを効果的に保護する必要があります。脅威はアセンブリ工程やメンテナンス作業、そしてシステムの動作中にも潜んでいます。

LED照明システムのアーキテクチャ

LED照明システムは、複数のLEDを接続したLEDアレイ、ドライバ(駆動回路)、制御回路、LED電源、そして商用電源への接続部などで構成されています。現在、多くの企業や施設の管理者は、照明の効率や品質を最大化するため、ハイテクを駆使したスマートなLED照明システムの導入を推進しています。照明状態の確認や調節、維持管理などを、有線/無線LANなどの通信ネットワークを利用して遠隔操作できるシステムです。これはLED照明器具に、通信用電源やインタフェースが組み込まれることを意味します。

こうしたサブシステムもESDやサージの脅威にさらされますが、システム全体の信頼性を確保するために、どのような保護対策が必要かは、ESDやサージのエネルギーレベルによって決まります。図1は、通信用電源やインタフェースなどを含むLED照明システムと、その保護対策の概要です。

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図 1:

LED照明システムと必要な保護対策の基本的なアーキテクチャ

LED照明システムの随所に、ESDやサージ、過熱に対して最適な各種の保護素子・デバイスが使用されます。

高エネルギーサージに対する保護素子

一般的に過電圧に対する保護素子としてバリスタが使われます。EPCOS SIOV®バリスタは、金属酸化物バリスタ(MOV)であり、LED照明システムの電源を、最大750Jの高エネルギーサージから保護するのに特に適しています。SIOVバリスタの新シリーズであるB20*およびB25*シリーズは、ANSI/IEEE C62.41.2およびLED道路照明機器に対するDOE MSSLCモデル仕様の両方に準拠し、最大10kV/10kAのサージ保護要件を満たすよう設計されています。これらのシリーズでは、1つのパッケージの中に3個または4個のSIOVバリスタが組み込まれています(図2)。現在、最大動作電圧が320V、420V、510Vの製品を提供しています。

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図 2:

LED電源保護用のEPCOS SIOVバリスタ

SIOVバリスタの新製品B20*およびB25*シリーズは、商業用LED照明システムの電源保護用に特に適しています。これらのシリーズは、単一パッケージに最大4個の金属酸化物バリスタ(MOV)を内蔵しています。

サージアレスタとバリスタにおいて、世界のマーケットリーダーの地位をTDKは占めています。EPCOSのサージアレスタとバリスタは、コンパクトなデザインが特長で、これらを組み合わることで、性能を最適化しつつ省スペースを実現します。特に落雷やその他の過渡現象にともなう甚大なESDやサージに対して、バリスタと組合わせたサージアレスタは信頼性の高い保護機能を提供します。

EPCOS ThermoFuse™バリスタのTシリーズは、単一パッケージ内で1個のディスクバリスタと温度ヒューズを直列に接合した構造の保護素子です。特殊なプラスチックケースに封入されている温度ヒューズは、バリスタと熱的に結合していて、サージなどによりバリスタが過熱すると、温度ヒューズが機能してバリスタを電源回路から切断し、発火や発煙を防止します。ThermoFuse™バリスタのTシリーズは、最大で10,000Aのサージ電流耐量と、2msecで最大440Jのエネルギー耐量を特長とします。

低エネルギーESDに対する保護素子

エネルギーが25J以下の低エネルギーESDに対する回路保護には、従来、一般的にTVS(過渡電圧サプレッサ)ダイオードが使われてきました。しかしながら、ESD保護素子への要求は、小型・低背、広い温度範囲での高信頼性、応答時間の高速化など、ますます厳しくなっています。EPCOSの積層バリスタCeraDiode®シリーズは、TVSダイオードにまさる決定的な利点をもつ保護素子で、25J以下のエネルギー領域のESDとサージに対するソリューションとしてきわめて有効です。また、CeraDiodeは各種サイズを揃えているため、非常に効果的に使用できます。

LEDアレイには、さまざまな構成が考えられますが、大きなシステムでは数100のLEDを直列または並列、あるいはその両者の組み合わせで接続されます(図3)。ただし、直列接続のストリングでは、1個のLEDがオープンモードで故障すると、そのストリングすべてが動作しなくなり、その結果、光量が大幅に低下するというリスクがあります。

CeraDiodeは、寄生容量がきわめて低いため、たとえばLED表示器などを制御するデータラインをESDから保護するのにも最適です。また、ネットワークされたLED表示器においては、しばしば交換や移動、再設定といった変更があるため、ホットスワップは当たり前におこなわれ、そういった状況が、ESDやスパイクを引き起こすことがあります。しかし、CeraDiodeによる適切なESD対策をシステム全体にほどこすことにより、それぞれのデバイスは全寿命期間にわたり、確実に動作し続けるようになります。

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図 3:

LEDドライバのESD保護

LED照明システムはさまざまなデバイス・部材で構成されています。直列接続のLEDアレイにはアンテナ効果が生じ、ESDに対してより敏感になります。LEDアレイの一部がESDによる損傷で動作しなくなると、その損害はLED照明システム全体の経費に影響します。したがって、CeraDiodeのような積層バリスタは、LED照明システムにとって、きわめて適切な保護デバイスとなります。

TVSダイオードよりも優位なCeraDiode

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CeraDiodeは、その単位体積/単位表面積あたりのエネルギー吸収能力が高いことも、大きな特長となっています。エネルギー吸収を担う活性化体積は、TVSダイオードではわずか30パーセントであるのに対し、CeraDiodeではその3倍近くの80%にも及びます。結果として、LED照明システムの設計者は、IEC 61000-4-2規格と同等のESD保護とサージ電流耐性を、はるかに小さな部品で実現することができます(図4)。
CeraDiodeは、LED照明器具メーカーのさらなる小型化の要求にも応えます。01005、0201、0402サイズ(EIAケースサイズ)の最新のCeraDiodeは、LEDアレイなどの保護に特に適しており、TVSダイオードよりはるかに少ない取り付け面積で同等の保護機能を実現します。

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図 4:

CeraDiodeとTVSダイオードの設計比較

CeraDiodesがその体積の80%をESDのエネルギーの吸収に機能するのに対し、TVSダイオードの場合は、その数値はわずか30%にすぎません。これは同等性能において、CeraDiodesは、かなりの省スペース効果があることを意味します。

ESDやサージにはさまざまな侵入形態があり、通常、双方向の保護が必要です。CeraDiodeは、バリスタとして単体で双方向の保護に使えますが、TVSダイオードは本質的に単一方向のみの保護素子であり、設計によっては、2個のTVSダイオードが必要となります。したがって、CeraDiodeのほうが、サイズ、コスト、配置方法などにおいて断然有利となります。

また、CeraDiodeは、80℃までその特性が低下しない点でも有利です。かたやTVSダイオードの特性低下は室温で始まってしまいます。このため、CeraDiodeは非常に広い温度範囲でのLEDデバイスの確実な動作を保証します。これは、照明器具の設計者にとって、省スペース化とともに経費削減の大きな手助けにもなります。CeraDiodeシリーズには、125℃(またはそれ以上)まで特性が低下しない製品もあります。さらにCeraDiodeは、0.5ns以下という高速応答時間とともに、その長い寿命期間にわたり高いパルス吸収能力を維持するのも特長です。

過熱からの効果的な保護

LEDは、一定の輝度を保つために一定の電流を必要とします。しかし、そのためには、狭い範囲内で正確に温度を制御しなければなりません。SMDタイプNTCサーミスタおよびPTCサーミスタは、LEDアレイを過熱から保護するとともに、発光効率を最大化させるために、温度プロファイルを正確に制御するよう設計されています。これは、LEDに流れる電流を自動調整することで実行されます。

0402/0603サイズ(EIAケースサイズ)のSMD NTCサーミスタの新製品は、±1%という狭公差とすぐれた応答特性が特長です。これにより温度制御に要求される高精度な測定を実現し、制御システムの効果的な設計を可能にします。

シンプルで確実かつコストパフォーマンスの高いもう1つの過熱保護素子として多用されているのが、EPCOS SMD PTCサーミスタです。現在、0402、0603、0805サイズ(EIAケースサイズ)が製品化されており、70℃から145℃の検出温度範囲で多様なR/T(抵抗-温度)曲線をもつ品種をラインアップ、最適のものを容易に選ぶことができます。サンプルキット(発注コード:B 59001Z999A99)には、すべての製品サンプルが揃っています。

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図 5:

ICを使用しない温度補正LED駆動回路

ICを使用しない、シンプルかつ温度補正されたLED駆動回路。LEDを流れる大部分の電流は、PTC素子を通して流れる。

LED照明システムに最適な各種部品もラインアップ

TDKでは、LED照明システムに求められる保護素子・デバイスをフルラインアップしています。また、フィルムコンデンサ、MLCC(積層セラミックチップコンデンサ)、インダクタ、トランスなど、高信頼性で長寿命のLED照明器具の設計をサポートする多種多様な電子部品・デバイスも提供しています。

表:LED照明用EPCOS CeraDiodeのラインアップ
ストリングあたりのLED数発注コードケースサイズ(EIA)最大許容直流電圧[V]ブレイクダウン電圧(バ
リスタ電圧)
(1mA)[V]
最大クランプ電圧
(1A、8/20µs)[V]
1         B72440C0050A16002015.51122
2 ~ 4B72590D0150H0600402152366
5 ~ 6B72590D0200H0600402203080
7 ~ 10B72590D0360B06004023645130
11 ~ 20B72590D0700B060040270100290
21 ~ 26B72590D0900B060040290125350
27 ~ 48B72590D0201B0600402200230600


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