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TDK TDK Electronics

電源用電子部品

2015年10月13日

“キャパシティブ・パワーサプライ(容量性電源)”用キーポーネントを提供

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コンデンサを用いた“キャパシティブ・パワーサプライ”(容量性電源ともいう。直列接続したコンデンサによるエネルギー伝達を利用する簡易電源)は、簡単・小型・低コストの設計が可能で、特に出力1W未満の小規模の電源に適しています。TDKは、コンデンサはじめ、キーコンポーネントとなるほぼすべての電子部品を提供しています。

電子機器の開発技術者は、ますます進行する回路の低電圧化やミリアンペアレンジの電流で動作するデバイスやシステムユニットの開発という課題に直面しています。代表的な例としては、計測データまたはタイマーの表示、マイクロコントローラベースの測定システム、および簡易な開ループ制御や閉ループ制御などです。

同様の課題は、ワイヤレスネットワークへの接続が要求されるデバイスの開発でもみられます。たとえば、計測値を無線で読み取るスマートメータやIoT用にネットワークで動作するデバイスなどです。

従来の電源設計は、きわめて低い出力範囲においては、多くの不都合をかかえています。トランスやスイッチング回路を使った設計では、大きなスペースを必要とし、コストもかかります。さらに、銅損や鉄損が低出力電源としては過度に大きな割合となります。抵抗のライン接続(分圧)という最も単純な方法は、安価ですが損失が大きいため、高効率という要求に相反するものとなります。

コンデンサの容量性リアクタンスを利用

AC電源から小さな負荷に電力供給する簡潔でコスト効率のよい方法の1つとして、コンデンサと負荷の直列接続があります。この方法は、一般的には好ましくないコンデンサの電流と電圧の位相ずれを利用するものです。コンデンサの両端にかかる電圧は、電流と位相が90°ずれているため、コンデンサは無効電力で動作していることになり電圧が降下します。つまり、コンデンサのリアクタンスが電力損失なしに直列抵抗のように機能するため、キャパシティブ・パワーサプライはきわめて簡便で効果的なソリューションといえます。図1は基本回路図と電圧のベクトル図です。なお出力側には従来の設計にはない短絡保護回路が備えられています。

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図 1:

基本回路と電圧のベクトル図

ベクトル図が示す通り、入力電圧の大部分は、実質的にコンデンサ内で電力消費されることはなく、コンデンサのリアクタンスによって降下します。

コンデンサは直接、電源ラインに接続されるので、きわめて高い信頼性が要求されます。そこでキャパシティブ・パワーサプライ(容量性電源)では、ULおよびENECに準拠したクラスX2コンデンサのみを使用することが推奨されています。

こうした目的に沿うように、TDKでは新製品のB3292*H/J*シリーズのような広い静電容量範囲のEPCOS X2コンデンサを取りそろえています。また、高温多湿といった過酷な環境条件下でも安定した静電容量を維持し、頼性の高い動作を保証するため、X2ヘビーデューティシリーズ(B32932*~B32936*)も開発しました。このシリーズの製品においては、周囲温度85℃、相対湿度85%での1,000時間に及ぶ試験で示す静電容量ドリフトは、わずか10%にすぎません。さらにもう1つの利点は、これらのコンデンサ(金属化フィルムコンデンサ/蒸着電極型フィルムコンデンサ)がもつ自己修復(セルフヒーリング)作用です。これはコンデンサ内のフィルム上の導体皮膜に小さな破壊放電が起こったとしても、局所的な蒸発となるだけで短絡の発生には至らず、コンデンサの機能を維持する作用のことです。

キャパシティブ・パワーサプライの計算

電源回路のほとんどは、必要とされる直流電圧を出力するものです。最もシンプルなのは、図2に示すような半波整流回路です。その具体的な計算例を以下に示します。ここでは、最大負荷電流が15mAのとき、約9V DCの出力電圧を発生するものとします。

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図 2:

回路例

まずツェナーダイオードD1の役割について説明すると、入力が正の半波の期間、D1は電圧制限用として働きます。必要とされる9Vの出力電圧を得るためには、ダイオードD2による電圧降下が約0.7Vとすれば、ツェナー電圧は9.7Vでなければなりません。しかし、ちょうどこの値のツェナーダイオードは市販されていないため、ツェナー電圧10V、最大許容損失1.3Wのものを使用します。

ライン電圧がピークの時に電源が通電状態にあると、許容値を超える大電流がD1に流れ、D1は破壊されてしまいます。そこで、D1に流れる電流を制限するために抵抗R1をライン側に接続します。一般的に、許容損失1.3Wのツェナーダイオードは、約1Aの瞬時電流に耐えることができます。このことからR1の値は次の式から計算することができます(230Vは欧州における代表的な商用交流電圧)。

[---Image_alt---] Formula 1_R1

これに最も近い標準的な抵抗値は330Ωです。動作中、常にR1には全負荷電流が流れます。この計算には、ACRMSとDCの平均値の比率を考慮しなければなりません。今回の例は半波整流回路なので、波形率は2.22です。このことから、出力電流の要求値が15mAであるとすると、R1を流れる電流は33.3mAとなり、その結果R1による電力損失は以下の値となります。

[---Image_alt---] Formula 2_P

この電力損失の値から0.5Wの負荷容量の抵抗を選びます。この抵抗による電圧降下は、およそ11Vとなります。

ここまでに求めた値を使って、コンデンサC1に必要とされるリアクタンスを計算することができます。ただし、万が一、入力側が電圧不足となった場合でも、負荷に対し信頼性の高い電源であることを保証するため、少なくとも10%の電圧低下を加味して計算すべきです。さらに、D1とR1による電圧降下も考慮しなければなりません。コンデンサC1のリアクタンス(XC1)は以下のように導かれます。

[---Image_alt---] Formula 3_XC1

このリアクタンスから、通常の50Hz商用電源周波数で必要なキャパシタンスは、次の式で求めることができます。

[---Image_alt---] Formula 4_C1

結果的に、この計算値の次に来るキャパシタンスの標準値は0.68µFとなります。環境条件にもよりますが、ここで使用するコンデンサとしては、たとえばヘビーデューティシリーズの X2キャパシタB32933A3684K*タイプが適しています。このタイプは、22.5mm間隔のリード付きで105℃の最大許容動作温度において耐電圧305V ACRMSに設計されています。あるいは、リード間隔が同じく22.5mmで、さらに110℃まで高温動作可能な設計のB32923H3684K*タイプも利用可能です。いずれのタイプも静電容量の公差は±10%です。

キャパシティブ・パワーサプライ(容量性電源)用EPCOSコンデンサ

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図 3:

キャパシティブ・パワーサプライ(容量性電源)用EPCOSコンデンサ

キャパシティブ・パワーサプライに適した代表的なEPCOS X2コンデンサの2タイプ:
左はヘビーデューティシリーズの製品、右はB3292*H/Jシリーズの製品。

ダイオードD2についていえば、安価な標準タイプの1N4001(50V、1A)は、35Aまでのピーク電流用に設計されており、半波整流用ダイオードとしては十分使用可能です。このダイオードは多くの半導体サプライヤーから提供されています。

平滑回路の効率化により電源の安定化を図る

図2におけるコンデンサC2の役割は、出力電圧を平滑にすることです。半波整流回路なので、負の半波長間もC2の出力電流はすべて負荷に流れなければなりません。C2の静電容量の値は、出力電圧の中にどれだけリップルが許容されるかで決まります。図2の回路例として、リップルの最大値は1Vが要求されているとすれば、出力電圧が9Vで最大負荷電流が15mAのときの負荷抵抗は600Ωとなります。このとき、ライン周波数が50Hz(半波長あたり10ms)ならば、C2の最小キャパシタンスは次の式で決定することができます。

[---Image_alt---] Formula 5_C2

この計算結果から、C2としては静電容量150µ

F、許容電圧25V DCのシングルエンドのアルミ電解コンデンサが選択されます。最長寿命を全うするためには、このコンデンサは少なくとも105℃の動作温度を想定して設計するべきです。

オプションとしてセラミックコンデンサC3を追加的にC2と並列に接続することが可能です。このセラミックコンデンサは、ノイズ対策やピーク電圧の抑制に用いられます。例えば0.1µFのTDK のMLCC(積層セラミックチップコンデンサ)は、こうした用途での使用に適しています。今回は、公称電圧25V DC、1608(IEC)形状、およびX7R温度特性(-55~+125℃、±15%)のC1608X7R1E104K080AAタイプを選択しました。

回路保護素子も重要

負荷を接続していない状態で、図2に示す電源回路をオフにすると、最悪の場合、C1にはピーク電圧が325Vにもなる電荷が残ったままになっている可能性があります。そこで、できるだけ速やかにコンデンサを放電させるのが抵抗R2の役割です。R2の抵抗値を決める際には、その電力損失と放電時定数の間で妥協することを余儀なくされます。今回は抵抗値を470kΩとしました。その結果、電力損失は約0.1W、最大許容接触電圧50Vまでの放電時間はおよそ0.5秒となりました。ただし、電源が常時グリッドに接続されていれば、この抵抗は不要となります。

言うまでもなく、入力側の過電圧保護素子RV1も重要です。過電圧保護用として、TDKはさまざまなシリーズのEPCOSバリスタを提供しています。なかでもスタンダードシリーズのいくつかのタイプは、11VRMSから1100 VRMSまでの広い電圧範囲をカバーしており、図2のような標準回路に適しています。これらのバリスタは、必要とされるサージ電流容量と静電気エネルギー吸収能力に応じて直径5~20mmのディスクタイプのものが入手可能です。今回のケースでは、たとえば8/20µsのパルスに対して400Aのサージ電流容量を備えたディスク直径5mmのコンパクトタイプのB72205S0231K101が最適です。

また、図2のRV2に、たとえばDC電圧15VのEPCOS SMT CeraDiode® B72590D0150A060を使うことにより、出力側も過電圧から保護することができます。

最後に、過電流保護素子RT1として使用されているEPCOS PTC B59873C0120A570について説明します。これは25℃における最大負荷電流を90mAに制限するように設計されたPTCサーミスタで、入力側における過電流の制限を保証します。万が一、回路内に不具合が発生して電流が増加した場合、PTCサーミスタが加熱されて抵抗値が急速に上昇するため、電流を危機に至らない安全な値に制限します。

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図 4:

キャパシティブ・パワーサプライに使用される回路保護素子(EPCOSブランド)

電源入力部における過電圧保護用ディスクバリスタ(左)、出力部で回路を過電圧から保護するCeraDiode®(中央)、入力部での過電流保護用PTCサーミスタ(右)

以上、キャパシティブ・パワーサプライの一例をご紹介しましたが、豊富で幅広い品揃えのTDKの電子部品(TDKブランドおよびEPCOSブランド)により、さまざまな電圧値、電流値のキャパシティブ・パワーサプライが実現可能です。

部品表
IDタイプ/値発注コードメーカー
メーカー/ブランド
R1330 Ω, 0.5 W多数
R2470 kΩ多数
RT2PTC, 90 mAB59873C0120A570EPCOS
RV1バリスタ、230 VB72205S0231K101EPCOS
RV2バリスタ、14 VB72590D0150A060EPCOS
C10.68 μFB32933A3684K* or
B32923H3684K*
EPCOS
C2150 μF, 25 V多数
C30.1 μF, 25 VC1608X7R1E104K080AATDK
D1ZD10, 1.3 W多数
D21N4001多数